石井淳アトリエ 建築設計事務所 神奈川県相模原市 建築設計事務所 相模原市

キャビン01へ戻る 覚え書き

湿気の多い沢の急傾斜地にローコストで段差のないワンフロアーというプログラムでスタートし、
数年にわたる打ち合わせの間にプログラム自体も少しづつ修正された。
このキャビンの設計時期には「面白くて特徴のある形の建物」という要望に重心が振れた。
当初より潜在的要望が「建築テーマパーク」だろうという見当をつけていた。

僕の考える「建築テーマパーク」とは「人が能動的に働きかけることによって遊ぶことができる」という枠づけだ。
もとよりすべての建築は量の差こそあれこの要素を内在しているのだが、
その質により「実用」や「心地よい空間」または「しかけ」などと呼び分けられる。
「建築テーマパーク」は思考や行為により生成するしかけと言い替えることもできる。

この意味において津久戸小学校も「建築テーマパーク」であった。
歴史館という室名の教室倉庫は、教室の中にさらに昔の教室を入れ子状に配し保管と展示と体験を一気に成立させる。
生徒が自由に(能動的に)振る舞えることを前提に「建築テーマパーク」の中に 本来の意味合いのテーマパークを入れ子状に設えた。

東京体育館 槙文彦 キャビン01は左の藤沢市秋葉台文化体育館(槙文彦)のローテクベクトルを加速し、
宮崎駿のアニメ「ジュピタ」の機械文化の世界観へと近づけたものでもあった。
槙文彦はハイテクベクトルを強化し東京体育館へと進化した。
キャビンは「ジュピタ」のハイテクなローテックをしかけとして滑り込ませ攪乱する。
しかしクライアントまでを攪乱してしまい議論を呼ぶこととなってしまった。

だがこの「揺さぶりと議論、そのものこそが建築」でもあった。