石井淳アトリエ 建築設計事務所 神奈川県相模原市 建築設計事務所 相模原市


 □  石の上にも何年 石の時間

2013-08-26(月)

イサムノグチ設計による札幌モエレ沼公園に彼の没25年後のこの夏やっと行ってきた。
公園は圧倒的に広く、人は少なく、時間の流れも別の軸を持つかのようだ。
イサムノグチは石の彫刻家であり、それゆえなのか彼にまつわる時間のスケールは大きい。

モエレ沼公園1

ちょうど先週からパルコ劇場で宮本亜門原作演出のisamuの公演が始まったことをテレビやラジオで知った。
2010年にはイサムの母を描いた日米合作映画『レオニー』が公開されてもいる。
イサムノグチという人の人生は数奇で困難で実直であり、こうしてたびたび作品化されるのだ。

僕の思うイサムノグチは、日本にアメリカに国家的に否定され悲しく劇的な経歴をもつ思慮深い彫刻家だ。
僕の知るイサムノグチは、横浜こどもの国や札幌大通公園のすべり台だ。
僕の知るイサムノグチは、NHKの特集であり、作品「門」のある東京国立近代美術館での特別展示会ので石作品であり、
あかりシリーズコーヒーテーブルであり、提灯「あかり」だ。
和紙提灯「あかり」は実に18年間の試行錯誤のうえ1969年に発表している。
「あかり」は親しみのあるデザイン性と値段の安さで僕らは随分お世話になっているが、
実は欧米でも神秘的なデザインとして人気を集めているものだ。



写真のモエレ沼公園は設計開始から17年後の2005年にオープンしている。
もっとも札幌ゴミ収集地のモエレにマスタープランを設計しはじめた年にすでに彼は亡くなってしまった。
イサムノグチ死去のニュースとモエレ竣工の建築雑誌発表との時間の大きなズレがまた僕にささやかな錯誤を引き起こす。

モエレ沼公園2

札幌市の広報には「ノグチは基本計画の制作中「私はずっと噴水の研究をしているんです」と語り、公園中央部に位置する直径48mの大きな噴水を描きました。海の噴水は、氏のイメージしていた噴水に類似したマイアミのベイフロントパークの噴水を参考としてつくられ、「水の彫刻」と呼ぶにふさわしい形態を兼ね備えています。」とある。
彼はモエレでは実際の噴水設計はしていないのだろうが、日本万国博覧会や最高裁判所ではすでに噴水を設計している。
モエレの噴水はまさに「水の彫刻」であった。 集まって見る人々をひとり残さず魅了し、釘付けにしてしまった。


ガラスのピラミッド公園もまた西洋的幾何学思考と東洋的感覚表現により構成される。
それはまったくノグチ自身の投影だ。静かな悲しみを湛えるかのように。
一見インターナショナルな「根無し草の悲しみ」のようでいて、実は振り子のような振幅こそが彼にとってのバナキュラーだったのかもしれない。
そして別次元の時間軸も、国家意思に翻弄されながら石との対話に費やした時間の流れに添っているのだ。
現代の「根無し草」、核家族の枠組さえも崩壊寸前の我々にとって、たどり着く場所はどこなのだろうか。


ガラスのピラミッド内観

ガラスのピラミッド内では結婚記念写真撮りがなされていた。(写真左下)
花嫁の姿を取り出したのが写真下中だ。

結婚式記念撮影花嫁拡大


コーヒーテーブルオマージュガラスのピラミッドにはイサムノグチの常設展もある。
そこでは左のコーヒーテーブルも展示されている。
その下の階では若い作家の作品展が催されていた。
若い作家の名前は失念してしまった。
何を匂わすコメントもない右の作品がイサムノグチへのオマージュだと気がついたのは家に帰って写真を見てからのことだった。



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