石井淳アトリエ 建築設計事務所 神奈川県相模原市 建築設計事務所 相模原市


 □  バーン vol.3

2011-10-18(火)
北のバーン7札幌農学校バーン vol.3、最終回。 (のつもり)
解説看板に、これはコーンバーン (穀物納屋) でバルーンフレーム (いわばタルキ構造)、X型材による床梁固定(いわば根太コロビ止め)などが原型保存、と書いてある。主構造は軸組構造。
札幌時計台などはすでに改修で梁や束をいれられタルキ構造が不鮮明になっているが、こちらは下の画像の様にわかりやすい。
コーンバーンは脱穀納屋と貯蔵納屋が2階渡り廊下で結ばれ、高床、鼠返しや通風壁 (いわば下地壁) などのステキな工夫がなされている。なぜこんなにバーンに惹かれるのか不思議だが
ワガホウとて去年の夏からビックバーンを設計していたわけで
床転び止めバルーン構造

これは単なる言葉のゴロ的一致というわけではないと、ここにきてやっと気がついた。
ボリュームプロポーションまでもが相似的といえる。
ここでは形式化が固定される以前の未成熟未分化の状態で、直截で熱を帯びた装飾と豊かに切り取られた緑の取り合わせがイノセントな好感を与える。


ポプラ並木

バーンにはこの飼いならされた緑が心地よく、切っても切れない関係をなしている。

次に左は立入禁止となっていたポプラ並木。 左側の並木が倒木によりなくなっている。
ポプラの高さがよりダイナミックな様相をなしているがエレガントさを保持した緑だ。
管理され 切り取られた緑でも、自然の力を完全にコントロールすることはできない。
下はさらに暴力的な緑。  このレベルの緑はその肌触りを変え神秘性と畏れを増す。

緑2緑1

「暴力的」などと大げさに書いてしまったが実は札幌の実家すぐ近くの遊歩道の緑で
3歳児でも歩けるのですがね。

自然との距離感、科学との距離感、人との、建築との、生と死との距離感。
モノゴトはその布置において感知され決定されていく。
モノゴト自体よりも総体において考えなければならないなと思うのです。


 □  バーン vol.2

2011-10-09(日)
北のバーン3札幌農学校第2農場バーンのつづき。
これらのバーンは北海道大学の構内にある。構内には
他にも樹齢100年を超えるポプラ並木もあるし馬も牛もいる。
平成16年の台風でそのポプラの27本、他学内の樹木1900本、
植物園の樹木500本もの被害があった。
現在ポプラ並木は立ち入り禁止になっていたが、
東京あたりの大学構内とはケタの違う伸びやかさだ。
それらはさらに次の機会に譲るとして、これは建物裏にある
サイロや農機具小屋だが美しい。建築材料は当然質素だ。
北のバーン4


感ずるのは納屋創りの目指すところに妥協がないということだ。
また日本という様式を宙吊りにした状態で呪縛なく新様式を取り
入れ、心地よく伸びやかにココロユクマデの可能性を示している。


話は変わり、先日アップルの創業者スティーブ・ジョブスが亡く
なり、今世界中が哀悼し喪失感を感じているという。
アップル

北のバーン5



残念ながら僕自身はMacやiPhone,ipad,ipodのどれともかかわりはなく喪失感はないが感情は理解できるような気がする。
スティーブはマッキントッシュという建築的構築方法からスタートし、身体の延長化、身体化へ向けて加速的に進んだ。
それはかつては機械が担っていた人類の希望と憧れだ。
車はまるでガンダムのように自分の手足となり移動する最高
の道具であったが、ネットというバーチャルなトランスポートが
車の輝きを一気に奪った。今の車離れ状況とはそういうことだ。
北のバーン6身体化したバーチャルは個人の領域に抜き差しならぬほどに
オーバーラップし、もはやスティーブはいつも君の隣にいるのだ。
彼の仕事の目指すところに妥協はない。
しかも経営者であるよりは、いつも創造者であり哲学者だった。
彼の態度風貌、服装からはやさしく厳しいカリスマが漂う。
今日やりたいことを今日全力でやる。妥協なく。
それ以上でもそれ以下でもなく、僕らにもできることなのだ。
これは地震の後に僕が書いた3月の monolog だ。


僕らは今彼の仕事を通し、経営者・技術者としてのスティーブを
超え、その向こうにある人間として彼を慕い、哀悼しているのだ。



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